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ひとりのろう者からあなたへ

ろう者として生まれて感じた社会の壁と合理的配慮とは

聴覚障害って何? ~ろう者とアイデンティティ~

こんにちは。

ここでは、聴覚障害のことをよく知らないという方に向けて、まず「ろう者」とは何かを説明していきたいと思います。

 

ろう者とは何か

まず、ろう者と聞いてあなたは何を思い浮かべますか?

多くはこういうことを思い浮かべると思います。

 

「日本語ができず、発音もできず、耳も聞こえない。そして手話だけで会話をする人たち」

 

つまり、何もできない障害者というイメージ。。。

こういうイメージを持っている人は多いのではないでしょうか。

 

では、実際はどうなのでしょうか。

まずは医学的な視点から説明していきます。

 

医学的に見たろう者という分類

 

医学的に見たろう者というのは、まず「聴力」で分類されます。

ここでの聴力とは、耳で何かを聞く力のことですね。

 

そして一般的には、この聴力が両耳とも100db以上であれば「ろう者」と分類されます。

 

※例えば30dbは人のささやき声が聞こえるという感じです。

このデジベルの数値が大きくなればなるほど聞こえの程度は悪くなっていくということです。

 

しかし、これだけではありません。

実は、ろう者という分類は医学的なものだけでなく精神的なものもあるのです。

そして、聞こえない人たちの世界のなかではこの精神的な分類が優先されやすいです。

 

では、精神的な分類とはどのようなものがあるのでしょうか。

 

精神的に見たろう者という分類

実は、医学的には難聴者と言われるほど障害が軽い人であっても「私はろう者です」と名乗ることがあるのです。

もともと医学的にろう者の分類に入る人が「私はろう者です」と言ってもピンと来ないかもしれませんが、これが難聴者の場合だと、どうでしょうか。

びっくりしますよね?

 

でも実際に、こういう方々はいるのです。

 

そしてこういう方々はどうしてろう者と名乗るようになったのかというと。。

 

聞こえない人の世界の中では(全てがそうとは限りませんが)

 

ろう者=自分が「聞こえない」ということを受け入れ、聞こえない人として生きていくことを決めた人たち。

そして聞こえる人に媚びることなく、聞こえる人と対等に向き合っていける人たち。

また、普段は手話を使い、手話にも誇りを持っている。

 

という見方をしている人が多いです。

つまり、ろう者=聞こえない自分に自信を持っている人たち、ということになります。

 

その一方、そういう方々は難聴者のことを

 

難聴者=自分が聞こえないということを受け入れられず、聞こえる世界に未練がある人たち。

普段は手話に抵抗があり、なるべく補聴器と発音だけでやっていきたいと考えている。

そして聞こえる人に媚びたりすり寄ったりすることが多い。

 

というふうに見ている人が多いです。

 

実際、自分のことを難聴者と名乗っている人の多くは上記のように普段から

 

「聞こえなくて大変、聞こえる人になりたかった」

「手話なんて恥ずかしい」

「私はあくまでも聞こえる人でいたい」

「私は発音もうまく聴力が軽いからそのプライドがある」

 

と言っている人も多いので、どうしてもそういう見方になってしまう人が多いと思います。

 

(ただし、自分のことを難聴者と名乗っている方々の中には、そんなつもりはなく単に医学的に難聴の分類に入るから難聴と名乗っているだけだという人もいれば、手話もするし聞こえない人として生きているけど難聴と名乗りたいだけ、という人もいます。)

 

このことからもなんとなく分かるかと思いますが、実は精神的に見たろう者という分類、というのはその人のアイデンティティに繋がることになるのです。

 

アイデンティティによる分類を優先してあげて!

 

そして聞こえない人の世界の中では医学的な分類よりはこのアイデンティティから見た分類の方が一般的になっており、そのためか、一般的には「ろう者」は差別用語と思われがちですが、聞こえない人の世界の中では一種の「誇り」にもなっていることがあるのです。

 

なので、例えば自分はろう者だと言っているのに他の人から「あなたは聞こえてるし発音もきれいだから難聴者でしょ」と決めつけられると嫌がります。

自分のアイデンティティを否定されているのと同じですからね。

 

アイデンティティとは、他人が決めることではありません。

自分が決めるのです。

 

なので、その人が私はろう者ですと言っていたら「そうか、この人はろう者なんだね」と受け入れてあげてください。

 

 まとめ

 

昔は「ろうあ者」という言葉がありましたね。

そしてこれは確かに、差別用語と言われていました。

 

しかし今は時代が変わり、ろうあ者→ろう者に変化していきました。

それと平行して、ろう者=聞こえない自分に自信を持っている人たちというイメージに変わってきました。

 

時代は変わるのです。

それと同時に、「ろう者」は差別用語ではない、アイデンティティとして大事な言葉なのだ、ということを世間にもっと知ってもらいたいなと思います。

 

それでは、今回は以上です。