あなたに伝えたい、世の中を生きやすくするために

ひとりのろう者からあなたへ

聴覚障害を持って生まれて生きて感じた社会の壁から合理的配慮についてあなたとともに考えていきたい

ATMで電話ができず立ち往生した話

日本はなんでも電話が全てだよね

私は耳が聞こえない。そして電話ができない。(補聴器をつけても電話は無理)

そんな私がある日、銀行からお金を下ろすためにATMに行った。

そこで電話ができず困った体験を話そうと思う。

 

銀行ATMの落とし穴

銀行ATMは、今やコンビニなどどこにでもあり、思いついたときにお金を下ろすことができて大変ありがたいサービスの1つとなっている。

ある日、この銀行ATMに大きな落とし穴があることに気づいた。

 

ATMでトラブル発生

その日は銀行からお金を下ろすつもりで、道沿いにポツンとあるATM(銀行の中にあるATMではなく、独立したATM)に行った。

そしてお金を下ろす手続きをした時、カードをATMに差し込んだ状態で「いくらお金を下ろせばいいのか」を頭の中で計算していた。

そしたら時間がかかりすぎたのか、気づいたらカードがATMに吸い込まれてしまっている!

「あっしまった・・・時間かかりすぎたんだ」と思ったが、そこではっと気づいた。

どうやってカードを戻してもらえばいいのか・・・

ここは銀行とつながってないから周りに誰もいない・・・

 

ATMに備え付けてあるのは電話のみ

どうしよう?と思った私、とりあえずATMの周りに非常時に連絡する何かがないかを探した。

そしたら、あった。電話。

しかし、私は電話ができない。

例えば私が発音ができたら、一方的に事情を話して切ってあとはとにかく待つ、ということもできたのだが、残念ながら私は発音も出来ない。

はてさてどうしたものか・・・

 

その日は結局、近くにいた夫に助けを求め、夫に電話してもらい無事カードを戻してもらうことができた。

 

日本は電話が全て・・

実はこういうトラブルは他にも色々ある。

今回はたまたま聞こえる夫が近くにいたから良かったものの、日本は「電話が全て」というところが多い。

 

「電話のみ」に困っている人は多い

「受け付けは電話のみ」

「ホームページのお問い合わせ先に電話番号しか書かれていない」

など・・・。

これに多くの人が困っている。

 

 

 

 

 

 

・・・などなど。

このほかにも日常生活の多くの場面で「電話」が壁となっているところは非常に多い。

 

電話が出来ない人のことも受け入れる社会を!

しかし、電話が出来ない人というのは聴覚に障害を持つ人だけでない。

失語症、喉の病気などで声を出せない人、また対人恐怖症などで電話が出来ない人など・・・

世の中には多くの「電話が出来ない人」がいるのだ。

そういう人たちにとって、「電話のみ」というのは非常に大きな壁となる。

そしてそれは同時に、その店(施設)などへの印象を悪くしてしまうことも。

 

「電話のみ」は逆にデメリットになる

このように、「電話のみ」という壁を作るということは同時に「電話が出来ない人」のことを拒絶することにも繋がるおそれがある。

例えば「予約は電話のみ」と記載されている店があるとする。

その店にわざわざ誰かに頼んでまで・・というのはハードルが高いという人もいるだろう。

そしてそういう人は、電話以外の方法でも受け付け可能なところへ予約した方が楽だと思うこともあるだろう。

その結果、その店はそういうお客さんを失うことになる。

電話が出来ない人も気軽に予約できるような店であれば、その分利益は発生したかもしれないのに。

 

「電話のみ」にも言い分はあるが・・・

しかし、確かに「電話のみ」というところにも言い分はあるだろう。

例えば「忙しいからFAXやメールまで見ることができない」「電話の方が早い」など・・。

しかし、それは相手に不便を強いていることになる。

 

 電話が出来ない人のことが頭にない?

 もう一つは、やはり「電話が出来ない人もこの社会にいる」ということが頭にないということも考えられる。

日本は、良くも悪くも「障害者が見えないところに切り離された社会」になっていると私は思う。

「障害者の人数が少ないだけだ」と言う人もいるかもしれないが、そういう意味ではない。

障害者は生まれた時から教育の段階でもう切り離されている。

障害者だけの学校に入り、義務教育を修了してイザ社会に出ようとしても障害者は障害者を雇う「特例子会社」などに入るしかなくなることが多い。

このようにして、障害者はどんどん社会から切り離され、その結果、「障害者を見たことがない、接したことがない健常者」が生まれる

これはもう国の政策や教育の問題とも言える。

この場合、その人は悪くないのだ。あえて悪意があってそうしているわけではないから。

 

しかし、だからといって「電話のみ」という問題を放置していいわけがない。

 

自分に置き換えて考えてみよう

 どんな人でもいずれは年を取り、耳が遠くなったり色々なことがあったりして電話が出来なくなる可能性はゼロではない。

「その時は誰かに頼めばいい」という人もいるが、24時間常にあなたの傍に誰かがいる状況が死ぬまで続く保証はありますか?

  

そろそろ、「電話のみ」という社会はやめませんか? 

この世の中は健常者だけで作られている社会ではありません。